中奥組合長・年頭挨拶
組合員の皆様におかれましては、本年も希望に満ちた新春をご家族お揃いで迎えられましたことと心からお慶び申し上げます。並びに平素から農協事業各般にわたってご理解ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、昨年は戸別所得補償制度の本格実施に向けて、組合員皆様も新たな施策への期待と、豊穣の出来秋を願い準備を進めていた矢先の3月11日、東日本大震災が発生し、未曾有の災害を被り、さらに原発事故が追い打ちをかける等、日本中が大きな不安をかかえる中での営農開始となりました。また、春耕期は天候不順が続き農作業が遅れ、播種や移植にも大きな影響が出る等、組合員におかれましては大変ご苦労なスタートとなりました。その後は大きな災害もなく、夏場は比較的順調な天候で推移し、出来秋は作物総じて平年作かそれを超える作柄となりました。しかし、販売面においては原発事故による風評被害等厳しい市況の中、野菜にあっては18億7千万円を超える伸びとなりました。その他の作物も堅調な推移で、総販売額は当初計画を大幅に超える40億円の実績となりました。
このような成果を上げることができましたのは、組合員皆様の栽培に対する熱意と努力の賜と衷心より敬意を表し、感謝申し上げます。
一方、農業情勢は戸別所得補償制度を始めとする新たな政策に向けてJAグループとして組織討議を重ね、また将来を展望できる政策要請も展開して参りました。こうした中から畑作も含めた産地づくり交付金の創設や、数量払いの仕組等一定程度反映されたものの、特に本道農業にとって課題が残されております。このように日本農業は改革途上にあり、不安定な中で一昨年、唐突に菅首相がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加検討を表明して国内に激震が走り、大きく揺れ動いたのであります。その後大震災が発生して表面化しませんでしたが、野田政権に変わると同時に政府はTPP交渉参加への意向を示し、様々な議論がなされました。さらに野田首相はAPEC首相会議で、TPP参加に向けて事前協議に入る事を表明しました。万が一参加となれば関税撤廃や国内制度の規制緩和や撤廃、さらなる自由化を求められ、農業を始め医療、保険、雇用など、日本の多くの分野にわたって悪影響を及ぼすことからJAグループはもちろん、オール北海道としても一貫して参加阻止に向けて運動して参りました。 今後もJAグループ北海道は引き続きTPP交渉参加の正式表明を断固阻止すべく強力な運動を展開してまいります。
農協運営につきましては、国内経済の低迷や急激な社会変化など厳しい環境の中、組合員の深いご理解とご協力、さらに各関係機関のご支援やご指導を賜り、今のところ計画に沿った状況で推移しており、皆様に深く感謝申し上げます。しかし、高齢化により組合員も減少傾向にあり、組織基盤も脆弱化しつつある中で、JAとしていかに組合員の営農や生活をささえていくかが問われております。
第26回JA北海道大会で決議した、農業にあっては「北海道農業の潜在能力のフル発揮への挑戦」またJAにあっては「協同と信頼の絆で築く新時代のJA」このことを着実に実践し、担い手が育ち、その担い手や組合員が安定した営農ができるよう、しっかりとささえ、そして地域に根ざし、地域住民や消費者の皆様に信頼される健全な組織運営を図り、さらにJAの役割である安全で安心していただける農畜産物の安定供給に一層努力しなければと思っております。農業農協を取り巻く環境は依然として余談を許さない情勢にありますが、役職員あげて着実に事業推進を図り、強靱な組織基盤の確立を目指して、組合員の付託に応えるよう最善を尽くして参ります。
本年も豊穣の秋を迎えられますことと、皆様のご健勝を心からご祈念申し上げ年頭のご挨拶といたします。